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MOKスクール和歌山ツアーに参加

2024.12.03

MOKスクールの「紀州材の魅力を学ぶツアー」に参加してきました

11月9日、10日の2日間にわたり、MOKスクール企画の「紀州材の魅力を学ぶ1泊2日のツアー」に参加しました。

MOKスクールは、「まっとうな木造建築」の普及を目指して開催されている学びの場です。昨年から参加させていただいており、年に数回行われる講義では、建築に関する刺激的な内容が満載で、毎回多くの学びを得ています。

また、講義後の懇親会も魅力の一つ。和やかな雰囲気の中で交流が深まり、楽しいひとときを過ごすことができています。
そのMOKスクール企画の和歌山ツアーとあっては、楽しくないはずがない!
ということで今回は1泊2日で参加をしてきました。

非常に濃厚な2日間でしたので全てをここに書いていると、とても長くなってしまい、書き終わる頃には年をまたいでしまいそうなので、特に印象に残った訪問先をメインにご紹介し、記録として残しておきたいと思います。
(結局、ほとんど書いてしまいました、、)

たかだ果園さんの木造ビニールハウスへ

ツアーの初日、最初に訪問したのが
紀州高田果園さん の木造のビニールハウス
設計管理は
無有建築工房 / 竹原義二 氏 ・下山建築設計室 / 下山聡 氏

今回のツアーに参加した目的がこれが見たかったからと言っても過言ではないくらいだったのですが、天気も良くツアーの始まりからこの構造美に興奮しっぱなしでした。

実は以前から工場内に塗装ブースを作りたいと思っていて、どうせなら木造のビニールハウスみたいなことが出来ないかな、と思ってまして。間柱をNCで加工してジョイントしていったら作れないかな、などと妄想してたのですが、これを見てしまうとやはりプロの建築家の方のアドバイスが必要そうですね。

ビニールハウス内では梅干しが干されていて、この写真を見ると今でもいい梅干の匂いが蘇ってきます。

有機栽培された南高梅で梅干を作る場所として、スチールで作られたビニールハウスは似つかわしくない、そんな思いでこちらの木造のビニールハウスの建設に至ったそうです。梅の酸がスチールを錆びさせるというのも要因だそうです。

食品作りに徹底された、ごまかしのない想いに共感し一瞬でファンになりました。

ツアー中にお土産に高田果園さんの梅干しを買って帰ったのですが、家に帰るとなんと同じ梅干しが既に冷蔵庫に。 妻が和歌山出身で、ふるさと納税の返礼品でこちらの梅干を入手していたのでした。

たかだ果園さんのオンラインショップはこちら
ふるさと納税の返礼品にもありますので、気になった方は是非検索してみてください!

以下高田果園さんでの記録写真


入口から見るとはまるでチャペルのようです

紀州材ツアーイメージ


下2枚の写真_撮影:和歌山県庁 山本将功さん

株)山長商店さんの本社工場へ

昼食を済ませ、14時頃に株式会社山長商店さんの本社工場へ

弊社工場は中西木材さんの製材工場の中にあるので、比較的見慣れた光景でしたが、素晴らしかったのは社員さん(松井祭さん)による解説。

美術館の音声ガイドのようにイヤホンをはめて、解説を聞きながら工場を案内して頂いたのですが、真摯に木材の加工に向き合う姿勢と、仕事に対する情熱みたいなものがヒシヒシお伝わってきまして、徹底管理された木材の品質もさることながら、人にも魅了されてしまったのでした。

参加者全員、山長の松井さんをはじめ、社員さんのファンになったのではないでしょうか。
松井祭さんのyoutubeチャンネルはこちら


株式会社 山長商店 榎本会長からご説明を頂きました。

 


品質管理についての解説 by松井さん


目視で確認しながら丁寧に製材をする現場を見学
下3枚の写真_撮影:和歌山県庁 山本将功さん

ホテルに移動し懇親会

山長さん見学の後は、ホテルに移動し温泉に入ってその後は懇親会。
山長の会長さんもお見えになり、直接お話をさせて頂きました。
質問内容は、採用について(笑
2次会、3次会??と続いたようですが、僕は寝不足が続いていたので早々に離脱。
11時頃には爆睡していました。

2日目 実際の山で林業を間近に

2日目、天気が心配されましたが、蓋を開けてみれば暑いくらいの快晴。
引き続き山長さんの案内で実際に山に入って林業の現場を見学させて頂きました。

<架線集材の現場>
これまで、ワイヤーを張って丸太を運ぶという話は聞いたことがありましたが、実際にどのようなものかは全く把握していませんでした。
動画をご覧いただくのが一番分かりやすいですが、巨大なUFOキャッチャーのような……。これは大変です。
正直、もう少し効率良く材料を山から出せているのだと思っていました。しかし、急傾斜地の山から水分を含んだ重い丸太を搬出するのは、想像以上に手間のかかることだと実感しました。

我々が入手する木材のほとんどは、板状になって乾燥されているものなので、深く考えずに家具作りをしていると、こういった林業に携わる方々の苦労が見えてきません。
今後は、これまで以上に多くの方々が、これから加工する木材に携わってくださっていることを感じながら、加工をしたいと思いました。

<プロセッサによる枝払い 玉切り>
この後プロセッサと呼ばれる機械での造材作業を見学。
枝払い・玉切り・集積作業までが1台で出来るハイテクマシーン。
近年主流になった機械かと思いきや、20年くらい前からあるそうです。
こちらもYoutubeなどではみたことがありましたが、実際に見るのは初めて。
動画で確認できますが、一回切るごとに丸太を運転席側に引き寄せ、曲がりなどを確認して、何mに切るか判断しています。
機械はハイテクでも熟練の技と知識が必要とされる仕事とのことでした。

ドローンでの苗木輸送

造材を見学した後は、木を切らない林業会社 株式会社中川さんによる
ドローンでの苗木の輸送を見学。
以前は苗木を担いて山を登り、無くなるとまた山を降りて苗木を取りにくるという重労働だったそうですが、この作業をドローンで解決。
まだドローンが一般的になる前から取り組んでいたので、苦労もたくさんあったそうですが、今ではトラブルも少なくなってきたそうです。
見学後は苗木の植栽も経験。急傾斜を登り、Tanzenの札と一緒に紀州の山に杉の苗木を植えてきました。

 

龍神村森林組合の見学

ツアーの最後は龍神村森林組合さんを訪問
原木市場での競りの様子をご説明頂いたり、製材工場では最近とある工務店さんのオーダーで挽き始めた4寸の柱などを見学しました。

写真_撮影:和歌山県庁 山本将功さん

ツアーを終えて

今回のツアー、実は直前にあまりの忙しさと睡眠不足でキャンセルした方がいいんじゃなかろうか、と頭をよぎりました。
ですが、こうして振り返ってみると参加した前と後では木材に対する意識に変化があり、参加できた事を大変嬉しく思っています。
また、ツアーで出会った和歌山の方々は優しく愛がある方ばかりで、その点でも良い刺激を受けました。
企画してくださった、MOKスクール関係者の方々、及び和歌山県庁の方々、今回は本当にありがとうございました。

次回のMOKスクールは
 12月14日は本年度最終講義
「精神が宿る木の空間をつくる 設計の骨子と細部のこだわり」
六車誠二 × 竹原義二 

今年1番楽しみなカリキュラムです!